BRICSの拡大とは何か:基本的な概要

BRICSの拡大は、世界経済の新たな潮流として注目される動きです。
BRICSとは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国で構成される国際的な枠組みを指します。
これらの国々は経済成長が著しい新興国として位置づけられてきました。
近年、このBRICSに新たな加盟国を加えて枠組みを拡大しようとする動きが活発になっています。
本記事では、BRICSの基本的な概念と拡大の背景、そして具体的な拡大の状況について、基礎的な情報をまとめます。

目次

BRICSとは

BRICSは、ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)、南アフリカ(South Africa)の頭文字を組み合わせた略称です。
もともとは投資銀行のゴールドマン・サックスが2000年代前半に成長が有望な新興市場として使った言葉が広まり、後に公式な国際的枠組みとして定着しました。
これら5カ国は、人口規模の大きさ、資源の豊富さ、比較的高い経済成長率などを背景に、世界経済において存在感を強めてきました。

BRICSの目的と特性

BRICSは、先進国主導とされてきた国際経済の秩序において、新興国が自ら発言力を強化することを目的としています。
この枠組みでは、首脳会議や外相会合など定期的な協議が行われ、加盟国間で経済連携、開発資金の確保、貿易や投資の活性化、さらには国際的な問題解決への協調姿勢が模索されます。
また、BRICSは独自の開発銀行である「新開発銀行(NDB)」を設立しており、インフラ整備や持続可能な開発プロジェクトの支援を行っています。

BRICSの拡大の背景

世界経済において新興国の影響力が増す中、BRICSはさらに多様な国々を加えることで、自らの国際的な地位を強化しようとしています。
近年の国際関係では、米欧主導の国際秩序に対する多極化の流れが加速しています。
このような状況下で、BRICSは自らが「新興国による国際的な協力と対話の場」であることをアピールし、その枠組みを強化する方策として新規加盟国の受け入れを検討してきました。
これにより、国際社会における発言力をさらに拡大し、国々の多様な利害を調整しつつ、新たな経済的連携や政治的影響力の確保を目指しています。

拡大の具体的な動き

2023年8月、南アフリカで開かれたBRICS首脳会議で、BRICSは新たな加盟国を正式に追加する方針を発表しました。
2024年1月1日付で、サウジアラビア、イラン、エチオピア、エジプト、アルゼンチン、アラブ首長国連邦(UAE)がBRICSに加わることが決定しています。
この拡大により、BRICSという枠組みは従来の5カ国から合計11カ国体制へと移行します。
これら新規加盟国はいずれも自国地域で影響力を持ち、資源や人口規模、地政学的な重要性などから、BRICSの国際的存在感を一層強化する可能性が指摘されています。

拡大による影響

拡大後のBRICSは、加盟国の地理的広がりや経済的多様性が増大します。
これにより、国際貿易や投資、人材交流、技術協力などの面で、各国間の連携強化が期待されます。
また、複数の地域大国が加わることで、国際金融機関や国連といった場において、従来以上に多元的な視点から国際政策が議論される可能性があります。
ただし、加盟国間の政治的利害や経済利害の調整が必要なため、合意形成が難しくなる側面も存在します。
今後、BRICSは拡大後の新体制において、どのように共通の利益を見出し、相互協力の枠組みを強固なものとするかが課題となるでしょう。

今後の見通し

BRICSの拡大は、グローバル化が進む世界経済や国際政治において、先進国以外の国々の声を国際社会に反映させるひとつの動きと見ることができます。
拡大したBRICSは、異なる地域や文化的背景を持つ国々を内包し、新興国同士の対話と連携を通じて新たな展開を模索します。
その結果、国際社会において従来とは異なるパワーバランスが生まれ、世界の政治・経済秩序に新たな影響を及ぼす可能性があります。
BRICSの拡大が国際関係に与える長期的影響はまだ明確には見通せないものの、多極化する世界の中で注目すべき動向の一つとして捉えられます。

この記事を書いた人

ニュースや会話でよく出てくる言葉について自分が子どもたちに説明するのに困らないようにいろいろな調べたことを公開しています。

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